文教大学・人間科学部の社会福祉士・精神保健福祉士実習前の学生さんに、大竹施設長と私、塚本で更生施設について講義を行ってきました。
社会福祉士、精神保健福祉士になるためには、実習が欠かせません。「知識」と「実践」は表裏一体であり、どちらもなくしては人を支援するということはできないからです。また、ソーシャルワーカーの卵である学生さん達に、支援の想いだけではなく「プロフェッショナル」として「働く」ということも知ってもらいたい。支援技術だけでなく、社会保障や法制度なくしても支援はできない。制度で補完できなければ創設するという視点も伝えたい。など、ボリューム満載な内容をギュッと凝縮して伝えてきました。
更生施設は、全国でも20施設しかないとても希少な施設となっています。法務省管轄の「更生保護施設」と生活保護法における保護施設である「更生施設」なんて、この文章を見ても違いが分かりにくいですね。実習の潮流は社会福祉協議会や特別養護老人ホームなどが多くの実習地として選ばれますが、「更生施設」での学びは、利用対象者の範囲が広いため、支援も広く深くならざるを得ません。その中で約1か月間の実習を有意義に過ごしてもらうために、こちらとしても講義に力が入ってしまいます。
大竹施設長
講義する筆者
講義の内容は、大竹施設長より、戦後間もなくから生活困窮者の支援を実践し続ける有隣協会の理念と歴史、施設種別の支援方法をおえることも大事なのですが、運営している母体の法人にも目を向けること、セーフティネットにおける生活困窮者支援の全体像、実習を受けるに当たっての心構えやポイントなどを説明させていただき、塚本より更生施設の概要、浜川荘のケースを通しての実態、課題を話しました。
質疑・応答の後に、締めで大竹施設長から「課題ではなく人をみること」の大切さを伝えて終えています。
実際の授業ではマスク効果も相まって、反応が全くないようにみえてしまい、暗中模索の状態でしたが、授業終了後に反応が返ってきたので、ホッとしました。
今回の授業等を通して有隣協会の歴史、取り組み、更生施設といった稀有な取り組み、施設を語っていくことの大切さをさらに感じることができました。目の前の利用者のQOLを向上させる上で、一人ひとりのサービスの向上だけでは限界があり、法律、制度の適切な改正も必要です。だからこそ稀有な取り組み、施設の枠組みを変えるためには、今回の授業のように、伝えていく場は大切であり、今後も継続していきたいと思います。
今回、このような場を与えていただいた文教大学の教員の皆様には、この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。
更生施設 浜川荘
指導員 塚本 隆明